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10)「スーパーリライター」
それでは「中価格・中品質」と「超高価格・超高品質」の間にある「高価格・高品質」の翻訳市場はどうなるでしょうか?
今まで“翻訳メモリーのWikipedia化”を盛んに強調してきましたが、翻訳メモリーを作るのは人間であり、人間にしかできません。
誰かが翻訳しなければ翻訳メモリーはできないからです。
また、「翻訳メモリー+機械翻訳+翻訳者予備軍による翻訳」をリライトしてほしいという需要は必ず残るでしょう。
「正確な翻訳」や「読みやすい翻訳」を求める需要がなくなることはまずあり得ないからです。
私はこのリライトをする翻訳者のことを「スーパーリライター」と呼ぼうと思っています。
ここでも価格競争がおこらないとは言いませんが、「虎のように鋭い、ギラギラした目」を持つ翻訳者がこの飽食の時代にそう増えていくとは思えないので、他のレベル(低品質、中品質)に比べれば、この市場においてはそう激しい価格競争は生じないと私は見ています。
また、翻訳コーディネーターや翻訳チェッカーの仕事は、より重要性を増していきます。
仕事をするのは常に「人間」だからです。
優秀な翻訳者が常に優秀な仕事をするとは限りません。
昔ジェスコーポレーションのあるクライアントが翻訳者の登録制という制度を実施しました。
納品する全ての仕事に翻訳者(およびリライター)の署名を求め、翻訳者ごとに点数をつけ、ランクをつけたのです。
ライバル会社がジェスコーポレーションのAランク翻訳者を何人も引き抜いていきました。
しかし、JESではAランクなのに他社が使うとBランクやCランクになるのです。
引き抜いたくらいですから、当然単価はJESより高いわけですが、そのうちライバル会社も引き抜くのを止めました。
JESのコーディネーターと品質チェックチームによるきめ細やかなフォローとプレッシャーにより、翻訳者も常に気が抜けなかったからでした。
まさに組織の勝利です。
今後、情報過多の時代に玉石混交の度合いはさらに強まっていきます。
良い翻訳者や良い翻訳を見抜く目の必要性は、いつの時代にも変わらないものです。
この項の最後に一言だけ付け加えておきます。
ダーウィンの「種の起源」の中に、次のような言葉があります。
「強いものが勝つわけではない。
賢いものが勝つわけでもない。
変化するものだけが勝つのである。」
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