翻訳会社の経営分析
(2006年9月から10月にかけブログに連載した記事を編集したものです。 丸山均著)


翻訳会社の売上と利益
1) 「全企業52社の平均値」と「粗利益」
2) 「販管費」・「役員報酬」・「営業利益」・「経常利益」
3) 「黒字企業平均」
4) 「粗利益率8割弱」
・・・超高付加価値企業?
5) 「黒字企業平均と大手翻訳会社との比較」
6) 「他業種との比較」

翻訳会社の財政状態
1) 「商法」と「税法」
2) 貸借対照表
3) 「売上債権」・「支払いサイト」・「貸し倒れ」
4) 「固定資産」「負債」「資本」
翻訳会社の財政状態
4)
「固定資産」「負債」「資本」

「有形固定資産」・・・土地、建物、機械設備など実際にモノとして存在する固定資産のこと。

「無形固定資産」・・・電話加入権やソフトウェア資産や営業権など実際にはモノとして存在しない固定資産のこと。

「繰延資産」・・・業務に関し支出する費用のうち、その支出の効果が1年以上に及ぶもの。開発費、試験研究費など。

「流動負債」・・・一年以内に支出もしくは費用化されると想定される負債のこと。支払手形、買掛金、短期借入金、前受金、未払金、未払費用、預り金など。

「固定負債」・・・1年を超えて支払われる予定の負債。長期借入金、社債、退職給付引当金など。

「資本の部」・・・2006年5月に施行された新会社法によって、長年使われてきた「資本の部」という名称が「純資産の部」という名称に変更されました。

しかし、昨年度はまだ「資本の部」が使われていたので、ここでは昨年度の名称をそのまま使うことにします。

小さな会社を考える時、「資本金」はざっくり言えば、株主が実際に投下した金額で、「剰余金」は税金を支払った後に残った金額が貯まっていったもの、と考えて大きな間違いはないでしょう。

つまり、全企業平均でみると、株主(多くの場合は創業社長でしょう)が650万円を投下して、何年か、あるいは何十年か後に、その金額が1,420万円(650万円+770万円)の価値(約2倍)になっていた、と言うことです。

黒字企業平均ではそれが、760万円投下して、2,800万円(760万円+2,040万円)の価値(約4倍)になっていたということです。

“2,800万円の価値になっていた”ということは、帳簿上の評価額がそうなっている、ということであって、実際に銀行や会社の金庫の中に“2,800万円のキャッシュがおいてある“ということではありませんので、念のため。

「資本の部」は別名、自己資本と呼ばれ、「負債の部」は別名、他人資本と呼ばれています。

「自分が出資したお金+利益が溜まっていったお金」と「他人から借りているお金+他人へ支払うべきお金」の現在の内訳が現金・預金だったり、売上債権だったり、土地、建物だったり、無形の固定資産だったりするわけです。

つまり、「資本の部」+「負債の部」=「総資産」となります。

「負債の部」は勝手に増えることはあっても、勝手に減ることはありません。なぜならば借金は返さなければ決して減らないからです。

それに反して「資産」というものは、自分の意志とは裏腹に勝手に増えたり、勝手に減ったりするものです。

終戦直後に創業したある会社が、時価10億円の土地をどこかに所有していたとします。

しかしその土地を購入した当時の金額が1万円だったとすると、貸借対照表に記載されている資産価格は1万円のままです。

インフレにより勝手に資産価格が膨張したわけですが、その逆に、バブル期に借金をして10億円の土地を購入したのに、現在では1億円の価値しかないというケースがあります。

経営者の意志に反して勝手に資産価値が減ったわけですが、そのために借りたお金(借金)は金利で増えることはあっても、知らない間に減るということはあり得ません。

同様に1億円の売掛金があると思っていたら、顧客が倒産し、価値が0円になってしまったということもあるわけです。

これらの例はすべて単純なケースばかりですが、もっと複雑なケースも当然たくさんあります。

つまり貸借対照表の右側の部分(負債の部と資本の部)は、経営者が意図的に操作でもしない限り、一応信憑性のある数字がならびますが、左側の部分(資産)は必ずしも信憑性がもてないということです。

会社を倒産させた経営者が、意図的にウソをつき、資産の額をごまかしていたというケースももちろんありますが、実は経営者自身が自分の会社の資産状況の実態をまったく把握していなかった、なんてケースもしばしば見られるからです。

ということで、通常は経営分析というと総資本回転率とか流動比率とか自己資本比率といった数字がずらずらと並ぶわけですが、実はそのどれもが資産の額に信憑性が持てるかどうかに全てがかかっている、というわけです。

また、会社が小さい間は、“率”よりも“額”を重視するべきですし、帳簿上のお金の流れと実際のお金の流れを正確に把握し、確保すること(資金繰り)がなによりも大事になってきます。

こんなことは学校では(少なくとも日本の学校では)教えてくれないので、実際に自分で悪戦苦闘しながら覚えていくほかありません。








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